「長野県の文化」を売り出したい
輸出協
2023.08
有限会社いろは堂(長野市)/ 品目:おやき
長野県のソウルフードの一つ、おやき。一口におやきと言っても、県内にはさまざまなタイプが存在することは有名だ。生地の作り方、調理法、具材のバリエーションも豊富で、好みにぴったりの一品を探す楽しさがある。
数ある老舗のなかでも、長野市鬼無里に本店を構えるいろは堂は、おやきを海外に発信している。これまでも県が企画する海外催事に意欲的に参加してきた。
が、諸外国におけるプロモーションはそう簡単ではないようだ。パッと見て何物か分からず、味を想像してもらうのが難しい。「中に野菜が入っている」、「温めればすぐに食べられる」、「スナックに最適」など試食や販売補助の手が欠かせない。また、アジアにはおやきに似た屋台フードが数多くあり、非常に安価。地域によっては厳しい場面もある。
しかし伊藤社長は笑って話す。
「でも長野県の文化を紹介する時に、おやきがなかったらちょっと寂しいでしょう。オールジャパンのなかの長野。長野におやきありと伝えたい。」
いろは堂の海外初出展は、2012年のタイの首都バンコクだった。
「バンコクに住む日本人の多さに驚きました。懐かしがって大勢の方が買ってくれました。」
2014年シンガポールの催事でも好評を博した。2018年には長野県が企画したハワイ「長野フェア」に参加。実演販売にて出荷分をほぼ完売し、継続取引につながった。
「思い切って海外に出てみた事が、自信や視野を広げるきっかけになりました。」
コロナ禍においては、現地におやきを熟知した販売担当の派遣ができず、また、試食の実施も制限された。ニーズに合った商品開発のほか、商品の魅力をどのように伝えていくかが大きな課題だったと伊藤社長はこぼす。
とは言え、片時も立ち止まってはいない。国内の催事や商談会に積極的に参加し、通信販売にも力を入れた。外国語対応のホームページではおやきを紹介する動画を公開。また、長野市内に新たなおやきの発信拠点として、2022年には工場併設の店舗「OYAKI FARM」をオープンした。
「伝統」の言葉が持つある意味保守的なイメージとは裏腹に、いろは堂は前進を続けている。
有限会社いろは堂
鬼無里本店:長野市鬼無里1687-1
https://www.irohado.com/
OYAKI FARM:長野県長野市篠ノ井杵淵7-1
https://www.irohado.com/f/oyakifarm